VDSLだと分かった ── 100Mbpsの上限から抜ける3つの道

VDSLだと分かった 遅いを解決する

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建物の配線方式を調べて、VDSL方式だった。ここからの話です。

先に結論を書きます。道は3つあります。建物ごと光配線方式に変えてもらう、自分の部屋にだけ光を引き込む、建物の配線を使わない。効果が出るまでの時間も、自分で決められるかどうかも、3つとも違います。

ただ、どれを選ぶにしても、その前にやっておいてほしいことがひとつあります。

まず、本当にVDSLが足を引っ張っているかを確かめる

VDSL方式の上限は約100Mbpsです。実測で30〜60Mbps前後が出ているなら、それはVDSLとして普通の状態で、上限が原因と考えていい。

問題は、5Mbpsや10Mbpsしか出ていない場合です。これは上限の話ではありません。100Mbpsの道で10Mbpsしか出ていないなら、別の場所に原因があります。

  • Wi-Fiの電波 ── 2.4GHz帯につながっている、ルーターから遠い、壁を何枚も挟んでいる
  • ルーターの性能や不調 ── 古い機種、長期間の連続稼働
  • 宅内の電話線 ── VDSLは電話線を使うので、延長コードや分配器が挟まっていると落ちます
  • 集合装置側の不具合 ── 建物の共用部にある装置。これは管理会社か回線事業者の仕事です

測り方

スマホのWi-Fiで1回、パソコンを有線でつないで1回。それぞれ平日の昼と、夜21〜23時に測ってください。見るのは下り・上り・ping(応答速度)の3つです。

有線で夜に60Mbps出ているのに、Wi-Fiだと8Mbpsしか出ない。この場合、犯人はVDSLではなくWi-Fiです。ここでルーターを買い替えるのは正解になります。

逆に、有線でも夜に90Mbpsで頭打ちになるなら、これは上限そのものです。ここから先が、この記事の本題です。

なお「上限が100Mbpsであること」と「実際に困っていること」は別の話で、用途によっては足りていることもあります。そのあたりはマンションのネットが遅い ── 原因は契約ではなく「配線方式」かもしれませんに書きました。

道1:建物ごと光配線方式に変えてもらう

一番根本的な解決です。成功すれば建物全体の上限が1Gbpsになり、しかも住人が工事費を負担しないことが多い。費用対効果でいえば、3つの道で最も大きい。

難点は、決める権限が自分にないことです。賃貸ならオーナー、分譲なら管理組合が決めます。居住者は「お願いする」立場にしかなれません。

それでも、居住者から動かす手はあります

NTT東日本は2024年11月に、光スプリッタの設置要望を受け付ける特設窓口を開設しています。VDSL/LAN配線方式の集合装置しか入っていない建物の入居者が、ウェブフォームに管理会社の情報を入れて要望を出すと、NTT東日本のスタッフが管理会社に光配線方式の導入を案内してくれる、という窓口です。

個人で申し込めるところがこの窓口の意味です。ただし注意点があります。

  • 管理会社とのやり取りの結果は、申込者に返ってきません
  • 建物の状況によっては有償になる場合や、要望に沿えない場合があります
  • 申し込む前に、窓口が今も受付中かどうかは公式ページで確認してください

NTT西日本エリアには同じ形の入居者向け窓口が見当たらないので、こちらは管理会社やオーナーから話を上げてもらう形になります。

いま、この相談は通りやすくなっています

NTT側の事情が変わってきているからです。NTT西日本は、VDSL/LAN方式の集合装置について「部材費高騰が続いている状況などを踏まえ、提供を維持していくことが困難となりつつあります」と公式に書いています。実際、VDSL方式と光配線方式が併設されている建物では新規受付を終了し、光配線方式への移行案内を各ISPが出してきました。

つまり、建物をVDSLのまま維持し続けること自体に先がない、という流れがすでにあります。管理会社に相談するとき、この背景を知っているかどうかで話の通り方が変わります。

管理会社への聞き方

「建物の配線方式を光配線方式に変更していただくことは可能でしょうか。VDSL方式の集合装置は部材の供給が難しくなってきていると聞いており、設備の更新時期について伺えればと思っています。」

時間はかかります。数か月、長ければ年単位です。だから道1は「仕掛けておくもの」で、今日の遅さを解決するものではありません。並行して道3を検討していい。

道2:自分の部屋にだけ光を引き込む

マンションに住んでいても、戸建て向けのプラン(ファミリータイプ)で個別に光ファイバーを引き込める場合があります。建物の共用設備を通らないので、VDSLの上限は関係なくなります。

条件が3つあります。

  • オーナーまたは管理組合の許可 ── 共用部に手を入れるので必須です
  • 使える空き配管があるか ── なければ壁や窓まわりに穴あけや配線が必要になります
  • 退去時の原状回復をどうするか ── 賃貸だとここが論点になります

月額はマンションタイプより高くなり、工事費もかかります。賃貸では断られることも多い。ただ、分譲で長く住む予定なら、聞いてみる価値は十分あります。

管理会社への聞き方

「専有部に個別で光回線を引き込みたいのですが、可能でしょうか。既存の配管が使えるか、壁面への穴あけが必要になるかも含めて確認させてください。」

申し込み窓口

許可が下りた場合の申し込み先です。提供エリアと、その建物でファミリータイプを引けるかどうかは事業者ごとに違います。管理会社の確認が先、申し込みはそのあとの順番は変えないでください。

許可の取り方と、何が争点になるのかは賃貸で光回線を引きたい ── 許可はどこまで必要かにまとめました。

道3:建物の配線を使わない

ホームルーターです。携帯電話と同じ電波でインターネットにつなぐ機器で、コンセントに挿すだけ。工事も、管理会社の許可もいりません。

建物の中の配線を一切使わないので、VDSLの上限から完全に外れます。そして3つの道でこれだけが、今日決めて今週変えられる。

ただし、速度は電波次第です。ここを曖昧にしたまま契約すると、二度目の失敗になります。

  • 住所だけでなく、部屋の階数と窓の向きで実測が変わります
  • 夜の混雑時間帯は落ちます
  • pingは光回線より大きい。対戦型のオンラインゲームには不利です
  • 上り(アップロード)は下りほど出ません

なので、申し込む前に試せる形を選んでください。お試し期間のある窓口を使う、同じ建物や近所で使っている人がいれば実測を聞く。それだけで精度がまったく違います。

各社の違いと、契約前に見ておくべき条件はホームルーターは「無制限」ではない ── 契約前に見る5つのことにまとめました。

 向いている向いていない
使い方動画、ビデオ会議、ブラウジング対戦ゲーム、大容量のアップロード
人数1〜2人4人が同時に動画
住まい引っ越しの予定がある長く住む、電波が弱い立地

3つを並べると

 上限効くまで自分で決められるか費用
道1 建物を光配線に1Gbps〜数か月〜決められない(要望は出せる)住人負担なしのことが多い
道2 個別に引き込む1Gbps〜数週間〜数か月許可が下りれば工事費+月額が上がる
道3 ホームルーター電波次第最短で数日自分で決められる月額のみ

現実的な順番はこうです。まず実測して原因を確定する。急ぐなら道3で足元をしのぐ。同時に道1を仕掛けておく。道2は、分譲で長く住む人の選択肢です。

どれも無理だったとき

上限は変えられません。でも、上限に届かせることはできます。100Mbpsというのはあくまで天井で、多くの家はそこまで使い切れていません。

  • 有線にできるものは有線に ── テレビ、デスクトップ、ゲーム機。Wi-Fiの取り合いが減って、全体が軽くなります
  • Wi-Fiは5GHz帯を使う ── 2.4GHz帯は遠くまで届きますが遅い。SSIDに「5G」や「A」が付いているほうです
  • ルーターの置き場所 ── 部屋の中央、床から1m以上、金属や水槽や電子レンジから離す
  • 宅内の電話線を短く、直結に ── VDSLは電話線の品質に素直に影響されます。延長コードや分配器が挟まっていれば外す
  • ルーターが5年以上前なら買い替え ── 上限は変わりませんが、同時接続したときの落ち込み方は変わります

ここまでやって、夜に有線で90Mbps出ているなら、その家はVDSLとして出し切っています。あとは道1か道3の判断です。

まとめ

VDSLだと分かった時点で、回線の比較サイトを開く理由はほとんどなくなります。どの事業者を選んでも、部屋まで来る道が同じだからです。

見るべき相手は、回線事業者ではなく建物です。そして建物は、誰かが言わないかぎり動きません。NTT東日本エリアなら、居住者が自分で出せる窓口があります。西日本エリアなら管理会社から。どちらにしても、最初の一声は住んでいる人からです。

まだ自分の建物の方式がはっきりしない人は、光配線・VDSL・LAN配線 ── 自分の部屋がどれかを見分ける方法から先に読んでください。

道2を選ぶときの事業者の比べ方はマンションタイプの光回線を比較する ── 料金表より先に決まっていることにまとめました。

参考にした公式情報

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